インタビュー

2025.01.09

生産・工芸デザイン学科

一歩ずつ着実に、スキルを磨いて掴んだ
憧れのカーデザイナーへの道

※学科・コース名称・学年はインタビュー当時のものです。

工藤 颯さん

プロダクト・インテリアデザイン学科 カーデザインココース

兵庫県立神戸鈴蘭台高等学校出身
スズキ株式会社内定

編集部
どのような理由で神戸芸工大を選びましたか?
工藤
子どもの頃から車の絵を描くことが大好きで「将来はカーデザイナーになる!」と漠然と考えていました。高校生の時に神戸芸工大でカーデザインの授業を受けられることを知り、絶対にここに進学すると決意しました。
編集部
実際に大学に入ってから、カーデザインをどのように学んでいきましたか?
工藤
1年生の夏休みから、自動車メーカーが主催するインターンシップに積極的に参加しました。プロのデザイナーの方から直接指導を受けながら、実際に作品を制作する経験を積むことができたのが良かったです。2年生からは、大学の授業とインターンシップを並行して、さらなるスキルアップを目指しました。
編集部
着々とスキルを磨いていったんですね。インターンシップの情報などはどのように収集しましたか?
工藤
先輩から教えてもらったり、大学からのお知らせや会社説明会、インターネットなどで収集しました。
編集部
カーデザイン以外の勉強や活動は?
工藤
1年生では、プロダクトデザインの授業で、日用品のデザインを制作しました。基礎的なデザインの考え方から学び、実際に形にすることで、デザインの楽しさを実感しました。僕は高校時代は普通科で、デザインの経験がほとんどありませんでした。入学してみると、高校時代からデザインを学んでいた学生がいて少し圧倒されましたが、「自分も努力すればスキルアップできる」と自分を奮い立たせて、自主的にデッサンを早く正確に描く練習や課題に励んでいましたね。このときの色々な経験が、3年生から専門的にカーデザインを学ぶうえで、とても役立ちました。
編集部
在学時に印象に残っている授業やプロジェクトはありますか。
工藤
子どもたちとものづくりをするワークショップや、地域の託児施設の什器制作プロジェクト、農作業体験など、学内外の様々な活動に参加したことです。活動を通してデザインの楽しさを改めて感じられ、また人とのコミュニケーションの大切さも学ぶことができました。農作業体験で得た農作に対する感覚が、その後自分がデザインするモビリティに、より人間味あふれる要素を加えることに繋がったりと、デザインに深みを与えてくれたと感じています。
編集部
入学時から、目標とするカーデザイナーに向けて着々と歩みを進めているように見えます。本格的な就職活動はどのように進めていきましたか?
工藤
就活の前哨戦のような感覚で、1年の夏休みから自動車メーカーのデザインインターンシップに参加し、その後も長期休暇ごとに必ず2社は参加して、自身の存在をアピールするようにしていました。自動車メーカーは3年の夏のインターンシップが実質的な採用試験なので、それまでにプロのデザイナーの方からカーデザインの指導をいただける機会を自ら増やして、デザインの経験を重ねました。
編集部
多くの企業でのインターンシップを経て、内定先を志望した決め手はどこでしたか?
工藤
複数のメーカーのインターンシップに参加して、それぞれの企業の考え方やデザインに対する姿勢を比較検討しました。その中で、スズキは人々に寄り添うような温かみのあるデザインを重視していると感じました。実家で愛用している車もスズキの車で、家族みんなが車での移動を楽しめるような、明るく楽しい雰囲気を持っていて、僕はそこがとても気に入っています。スズキのデザインには、年齢や性別を問わず、多くの人々に楽しんでもらいたいという想いが込められていると感じ、共感したのが志望した理由です。3年生の夏のインターンシップに参加し、そこで提案したデザインが評価され、内定をいただきました。
編集部
工藤さんのどういったところが内定に繋がったと感じますか?
工藤
それまでに参加したカーデザイン以外のプロジェクトやワークショップなど、幅広く活動していたことが、自身のアピールポイントとして強く押し出せたからだと思います。また、インターンシップでは事前課題の作品を各自で持ち寄り、期間中にブラッシュアップしていくというのがよくあるかたちなのですが、僕は提出した自分の作品に納得ができず、現場でほぼゼロからアイデアを練り直しては、新しいデザインを提案しました。限られた時間の中で常に新しいアイデアを生み出す力、また、それを完成までもっていける技量を評価してもらえたのかもしれません。
編集部
内定先での目標や将来やりたいことは?
工藤
もっともっとデザインの実力をつけて、多くの自動車モデルをデザインして世に出していきたいです。自分でデザインした車が多くの人に愛され、街中を走っているところを見られたら最高ですよね。
編集部
では最後に、大学時代に手掛けた印象深い作品について教えてください。
工藤
僕の叔父と叔母が若い頃にデートカーに憧れていたという話を聞いて、現代のデートカーをイメージして制作した二人乗りの自動車です。昔ながらのスポーツカーのようなスポーティなイメージではなく、二人でゆったりと過ごせるような、包み込むようなデザインを目指しました。具体的には、内装は柔らかな曲線で構成し、二人で向かい合うようなレイアウトにすることで、プライベートな空間を演出。また、ボディの造形要素を極力減らしたアイコニックな形状に仕上げたのもこだわりです。
これまでの作品はスケッチのみでデザインを進めていましたが、今回はクレイモデルや3DCGソフトを用いて、立体にすることにより、デザインの質を高めました。近年、3DCGがデザインツールとして広く活用されています。今回の制作を通して、その技術に触れることができる、貴重な経験になりました。