インタビュー

2023.01.06

生産・工芸デザイン学科

生徒それぞれの個性に合った授業で
美術の楽しさを教えたい。

※学科・コース名称・学年はインタビュー当時のものです。

田尻 愛依さん

アート・クラフト学科 美術教育コース 4年

兵庫県立西宮北高等学校出身
兵庫県中学校美術教諭内定

編集部
神戸芸工大に入学して良かった点はどんなところですか?
田尻
学生と先生の距離が近く、相談しながら制作を進められたり、ゼミの日程調整などを柔軟に対応していただけたりするところです。現在取り組んでいる卒業制作でも、途中で方向性を見失ってしまった時には先生に相談し、一緒にディスカッションする中で軌道修正し、自分のやりたかったことを再確認することができました。また、教職課程の先生からも手厚くご指導していただきました。
編集部
元から教職課程には興味が?
田尻
入学前から教員になることが夢でした。中学生の時に、引っ込み思案でクラスに馴染めなかった私を、当時の担任の先生がとても気にかけてくださったことが、自分が変わるきっかけになりました。それから出張授業で小学生に理科を教えたり、アルバイトで塾の講師をするなど、人に教える楽しさを経験してきたことで、私自身も誰かに美術の楽しさを教える人になりたいと思うようになりました。神戸芸工大は、アートとクラフト両方の領域について学びながら教職課程を履修することで、教職免許を取得できることが魅力のひとつです。
編集部
「美術教育コース」を選択したのも、それが理由で?
田尻
教員になりたいとは思いながら、人とコミュニケーションをとることに少し苦手意識があったので、たくさんの人たちと関わる機会が多くワークショップなどの企画が経験できるコースを選びました。実際、たくさんのワークショップに参加することができ、そこで多くのことを学びました。
編集部
例えばどのようなワークショップをおこないましたか?
田尻
同じコースの同級生4人で、「諏訪山動物園アートぷろじぇくと」でのイベントの一部として「みんなでつくろう!どうぶつえん」というワークショップをおこないました。まず私たちで黒い紙を切り抜いていろんな動物のパーツを用意し、参加してくださった地域の方々や子供たちにそのパーツを好きに組み合わせてもらって、オリジナル動物の影絵を作ってもらいました。初めてのワークショップだったので、準備や企画が思うように進まなかったこともありましたが、最後に参加者のみなさんと影絵の点灯式をした時は達成感もあって感動しました。
編集部
卒業制作はどのようなことを?
田尻
コースの授業課題として、絶滅の危機に瀕している動物のお面を張り子で制作したことをきっかけに、卒業研究ではこの張り子のお面を使って環境問題について考える教材研究をおこなっています。張り子技法のおもしろいところは、薄い紙でも張り付けることで頑丈に成形できること、そして紙で曲面をつくれることです。その特徴を活かして、絶滅の危機に瀕している動物をお面にして自分でかぶってみることで、動物になりきって現在の地球規模の環境問題について考えてみようという新しい授業づくりをしています。
編集部
教材研究の中で、工夫した点はありますか?
田尻
客観性を持たせるために、お面をかぶるだけじゃなく写真を撮り、その写真を切り貼りしてコラージュし、環境問題が起こっている場面をつくりあげるようにしました。ワークショップでは高校生や大学生たちにコラージュ制作をしてもらいましたが、私では思いつかないようなアイデアが出てきたり、文字も切って貼ってみたりと、それぞれに個性が表現されておもしろかったです。
編集部
ワークショップや教材研究をしながら、教育実習にも参加を?
田尻
はい、母校での教育実習でした。自分が通っていた頃とは生徒たちの雰囲気がずいぶん変わったように感じましたが、実際に美術の授業をしてみるとみんな楽しんでくれたのが嬉しかったです。
編集部
どのような授業をおこないましたか?
田尻
「ミロのヴィーナス」という、肩から先の両腕が欠けた女性の彫刻があるんですが、生徒たちには、その肩から先がどんな風になっているかを想像してもらい、ヴィーナスの背景とともに絵に描いてもらいました。ワークシートにはどういったストーリーを想像して描いたのかも書いてもらいましたが、そこにも生徒それぞれの個性があふれていて興味深かったです。
編集部
教育実習を通じて学んだことは?
田尻
学校にはいろんな生徒がいるので、おしなべて同じ対応をするのではなく、個人個人に合わせた接し方が大切だなと感じました。教える科目が美術なので、絵や工作に苦手意識があったり授業中退屈そうにしていたりする子もいます。そういう美術が得意じゃない子でも、話してみたらアイデアはたくさん持っていたりするんです。だから単純に作品の出来を評価するんじゃなくて、どんなことを考えどのように授業に取り組んでいるかで生徒の評価を決めるようにしました。
編集部
将来の目標は?
田尻
まずは教員という立場に慣れていくこと、それから生徒たちとともに成長し続ける先生でありたいです。もし生徒たちがネガティブな反応を返してきても、それを素直に受け止め改善していくことで、自分ももっと成長していけると思います。